::天然醸造を守りふくよかな味わい::
古くから小麦の産地として知られる坂戸市には、うどん、麦みそなど、小麦を使った特産品が多い。大豆と小麦、塩から造られるしょうゆもその一つ。坂戸市の「弓削多醤油」は、伝統的な醸造法を守りつつ、いち早く有機しょうゆ造りに取り組んだ、太陽食品の看板商品の一つ「太陽醤油」の蔵元だ。
「しょうゆは、食品だから安心して口に入れられるものでないといけない、調味料だからうまくなければいけない、というのが当社のモットーです」と、4代目社長の弓削多洋一さん(37)。昔は、大豆を丸ごと使ってしょうゆを造るのが当たり前だったが、戦後油を搾ったあとの大豆から造るのが主流になった。弓削多醤油では、昔ながらのふくよかな味わいを求めて、20年前に丸大豆しょうゆを復活させた。その後、よりよいものを、とこだわって行き着いたのが、国内産の有機大豆と小麦を原料にしたしょうゆの醸造だ。
「国産の大豆は外国産に比べてタンパク質が多く、うまみの濃いしょうゆができるんです。有機栽培の作物は生命力が強く、しっかり育っているので発酵もよく、おいしいしょうゆになります」。平成13年に有機JAS認定を取得したが、大変だったのはやはり原料の確保。あちこちの生産者をあたり、現在は青森県白神山麓の契約農場で栽培してもらっている。また、有機の製品とほかの製品が生産過程で混ざらないよう、有機しょうゆのためのもろみ蔵も作った。 |