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「食品の裏側」の著者 安部司氏講演 会簡単・便利の落とし穴、食品添加物の本当の怖さとは?
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ガラス瓶の中の粉を混ぜ合わせると、あっという間に子どもが大好きな清涼飲料が出来上がる。添加物を調合した液体に白い大根を漬けると、ほんの数秒で鮮やかな黄色いたくあんに変身する。会場にはどよめきが・・・。

去る8月26日、横浜市社会福祉センターで、著書「食品の裏側」で話題の安部司氏の講演会が開かれ、300人以上が集まりました。食品の裏側には何がある?


大量の添加物が使われるコンビニのお弁当
安部司氏「今、家庭排水のため川が浄化できないくらい汚れています。皆、家庭でいったい何を流しているの?私たちの便利で快適な生活を支えているのは化学物質です。快適な生活を享受するなら化学物質も同時に受け入れなければならない。光と影を同時に見て危険と引き換えに快適さを取るのかどうか、選択するのは私たち。こうした問題を一番身近に感じられるのが食べものです」

壇上のテーブルの上にはコンビニで買ってきたサンドイッチとおにぎりとポテトサラダ。この3点に含まれている添加物の数はざっと数えて100種類近く。なぜこんなにたくさんの添加物が使われているのでしょうか?

「それは消費者が求めるからです。安くておいしくて日持ちのする商品・・・。添加物を使わないとそんなものできるわけないですよ。皆が本当に嫌だというならこんなものは3日で消えます。でもなくならない、消費者が支持しているからですよ」

このサンドイッチに使われている添加物は60種類くらい、ポテトサラダは20種類くらいだとか。でも表示にはそんなにたくさんの添加物名は書いてありません。「こんな小さな表示スペースに60種類もの添加物の名前は書ききれませんよね。だから、同じような働きの複数の添加物は一括表示してもいいことになっている」。

例えば、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、酸味料、香料、PH調整剤などと書かれていれば何種類もの添加物が使われていることに・・・。「グルタミン酸ナトリウムと書くよりも、アミノ酸って書いてあったほうが何だか健康的なイメージですよね。保存料にソルビン酸を使う代わりに、保存料の役目をする何種類もの添加物を混ぜて一括表示でPH調整剤としたほうが安心感ありますね。それに、添加物の量が少ないと錯覚させることもできます。だから一括表示って便利ですよね。本来なら一つの添加物で足りるのに、一括表示にするためにわざわざ余分な添加物を使うこともあるんです」

売れ残ったコンビニ弁当を豚の餌にした養豚場では3ヵ月後、流産、早産、死産が相次いだ。母豚の羊水はチョコレート色でした。いったい原因は?

「安全性をテストしているといっても相手はネズミ。単品でのテストは行われていますが、複数摂取した場合の複合的影響は誰も知りません。そんなものを子どもに食べさせていいのでしょうか?自分の子どもがネズミと同じだと思えば食べさせればいいでしょう。添加物の安全性について議論してもしようがない。でも、豚の流産をどう説明するのか?アトピーの子、多動の子が自然食品に替えたら治った、そういう事実もあるんです」

人を惑わす魔法の粉の怖さ


「1本のペットボトル(500ml)に含まれる砂糖は計量カップ半分もの量です。皆さん、これだけ大量の砂糖が入った水を飲めますか?普通なら甘過ぎてとても飲めません。でも、添加物を混ぜるとおいしく飲めてしまうんですよ」と話しながら、安部氏は何種類もの粉(酸味料、香料、着色料など)を混ぜて液体を作ります。後で試飲してみると市販の清涼飲料と同じ味がしました。

「子どもはインスタントラーメンやスナック菓子が大好きです。家庭で料理に使う化学調味料や何とかの素などはスナック菓子と同じ材料でできています。お母さんの料理によって小さな頃から添加物の味に慣らされてきた、だからスナック菓子が好きになる。そしてスナック菓子をバクバク食べると、今度は先ほどの清涼飲料が欲しくなるんです」

今度はテーブルの上の何種類もの粉を混ぜ合わせてラーメンのスープを作ってみせます。ものの数分で博多名物とんこつスープが出来上がりました。

「安くて簡単・便利でおいしい。でもこんなふうに作られているんですよ。子どもに食べさせたいですか?添加物の毒性より怖いもの、それは食べものが簡単に手に入ると子どもが思ってしまうことです。本当の食べものは作るのに手間ひまかかる。お母さんが一生懸命2時間もかけて作っても食べるのはほんの数分。でも、そういう食事を食べて育った子どもは優しい心に育ちます。世間で過ちを犯してしまった子どもが食べてきたものは一体どうだったのでしょうか?そういう子どもでも食べものが変わると戻れるんです。食べものは心をつくる。身体をつくるだけなら配合飼料のほうがよほど効率が良いはずです」

大切なのは心ある選択


「水俣病・・・。なぜ、あんなきれいな海に汚い水を平気で流したのでしょう。人の心があったらあんなことは起こらなかった。今、私たちも同じように人の心を見失っています」

福岡市でのアンケートの結果、消費者の75%以上が添加物支持派だと分かりました。消費者は安全・安心を求めているはずなのに実際には添加物入りのものしか売れないのが現状です。口先では安全・安心を求めながら、実際には多くの人が安くて便利なものを買うからです。

「添加物を使わない良心的なメーカーは潰れていく。味噌屋さんが、漬物屋さんがどんどん消えていく・・・。私たち消費者が消しているのです。それなのに安全・安心な商品が欲しいと言う。おかしいですよね。その辺に気付いて欲しいですね。あなたは198円の醤油と1000円の醤油、どちらを選びますか?」

食は「心を育てるもの」であると改めて気付かされた講演でした。次世代を担う子どもたちのためにも、より良い選択をすることが大人の役目だと思いました。

(レポート:板山美枝子)

●安部司先生プロフィール
1951年福岡県生まれ。山口大学文理学部化学科卒。添加物・食料商社勤務。「添加物食品を我が子に食べさせたくない」と退社、無添加の自然食品開発に携わる。有機農業JAS判定員。現在、全国で講演活動を行なっている。


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